『堕ちたブランドに復活はない。』
創設者グッチオの孫のマウリッツォが元妻パトリッツィアの差し向けた刺客に殺された事件に焦点を当てている。
グッチォが興し、アルドが発展させたグッチという巨大ブランドのお金をめぐり、家族はお互いを法廷に引きずり出して争う。(このくだりは、同テーマの本「グッチ―抗争の家系」に詳しい。)
そしてついに殺人。
「何でも手に入る生活」をしていながら、なおお金のために人を殺す狂気。
美貌を武器に上流階級へと成り上がり、飽くところを知らずついに破滅するパトリッツィアは、フランス革命期のラ・モット伯爵夫人のよう。
その後グッチは、トム・フォードをデザイナーに迎えたりもし、ファッション専門誌などでは「華麗に再生を果たした」などと持ち上げられたりもしたが、往時の精細はない。
銀座の店を見ても、棚には皮革製品はなくビニールや布でできたものばかり。
単価は安いがデザイン性に優れた品を、皮革製品並の高価格で売る、という戦略はLVグループの得意な手だが、グッチではそれが通用している様子は見えず、店員の質も以前のようではない。堕ちたブランドに復活はない。
最近ではスペインの皮革の老舗ロエベがLVグループに吸収され、まっとうな革製品を扱うブランドがまたひとつ消えた。残念。
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