伝説的なカントリー歌手ロレッタ・リンの半生をもとに、人をそらさない伝記映画に仕上がったこの作品で、シシー・スペイセクはアカデミー賞の主演女優賞に輝いたが、なるほどオスカーに値する演技を見せている。
イギリス人監督マイケル・アプテッド(『愛は霧のかなたに』)は、ケンタッキー州の山間部を舞台とする場面をきめ細かく描いている。そこで十代のロレッタは、やがて彼女をショー・ビジネスの世界へ送り出すことになる未来の夫(トミー・リー・ジョーンズ)とめぐり会うのである。夫の浮気、ステージで錯乱するロレッタ自身の姿など、大人になってからのロレッタの暮らしも丹念に描かれる。本人の正確な回想をもとにしつつ、トーマス・リックマンの脚本は生き生きとしたタッチを貫いており、すぐれたユーモアに満ちた場面も織り交ぜられている。主演のふたりだけでなく、ビバリー・ダンジェロやザ・バンドのレヴォン・へルムも生彩ある演技を見せているおかげで、登場人物に生命が吹き込まれ、躍動感あふれる傑作になっている。(Tom Keogh, Amazon.com)