本書は、ブロードバンド時代のCRM(Customer Relationship Management)戦略の事例やノウハウをまとめた『The Customer Revolution』の邦訳書である。著者は、アーサーアンダーセン、ヒューレットパッカード、マイクロソフトなどをクライアントに持つITコンサルティングファーム、パトリシア・シーボルトグループのCEOである。 本書は、顧客がビジネスの主導権を握る「個」客革命の時代である今こそ、顧客価値を重んじ高めていくことを目指した経営があらゆる企業にとって重要であると指摘する。そして、企業が成功するための8つの原則や、顧客にすばらしい経験を届けるための8つのステップ(魅力的なブランドを築く、シームレスな顧客対応を実現する、顧客の立場に身を置く、顧客経験を評価する、業務オペレーションを磨く、顧客の時間を大切にする、顧客のDNAをもとに、ビジネスモデルを組み立てる、たゆまぬ進化を続ける)などについて実例を挙げながらわかりやすく紹介する。特に、「個」客経済では、ロイヤリティーの高い顧客こそが企業における第一の財産であり、顧客本位の戦略をとり、顧客とのきずなを大切にすることが企業にとって何より貴重な価値を生みだす源泉であると主張する。また、顧客との現在および将来における関係、すなわち顧客フランチャイズが企業の価値を決定づけ、顧客経験(ブランドに対する印象)がロイヤリティーの大きさを決定づける、とも主張している。さらに、こうした主張を踏まえ、「個」客経済下で繁栄するためのツールとして、業績指標についての新しい提案も、13の実在企業の例を紹介しながら行っている。今後の経営戦略やCRM戦略を考えるうえで参考になる1冊だ。(増渕正明)
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