42年の生涯で100作以上残したマーガレット・ワイズ・ブラウンの絵本に、作家として、これまた数多くの作品とファンを持つ江國香織が日本語訳をつけた1冊。この短いお話を色鮮やかに引き立てているのは、ブラウンと数多くの作品で組んでいる、日本生まれの画家フェリシア・ボンド。牧場の「おおきなあかいなや」に住む動物たちの、とある1日のお話である。 この絵本の素晴らしいのは、その「色彩感」である。牧場の緑、赤い納屋、ピンクの豚、金色、白、茶色…。色あるものの躍動感が胸に響いてくる。そして「こどもたちはでてきません」の1文で大人も違和感なく、本の世界にスムーズに入っていける。子どもは子どものまま、大人は子どもに返ったような気持ちで。そして読んでいくと「世界って、こんなに色鮮やかなんだ!」ということに気づかされるのだ。 江國の訳も簡潔でありながら色彩感を失うことがない。その中でも「めんどりの したには しずかな たまご」という文には荘厳さすら感じさせる。(望月樹子)
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