『いちバンドマンとして』
ベースのジョンB.がこのアルバムのレコーディング中に脱退。その影響もあってか、このアルバムはかなりR&R色の濃い出来になっている。
前作以前は豊富にあったコッテリとしたファンクナンバーは『ユーレイ』のみ。だが1つ1つの曲の濃度が依然とは比べ物にならないくらい濃い作りになっている。当時のバンドのナーバスな状況が出ていると言える。「こんな状況だからこそ、聞き手に1つも捨て曲を作らせないアルバムを」というトータスの気合が十分伝わるナンバーばかりだ。
しかしバランスの面から言うと、以前までのアルバムと比べて崩れてしまっていると言わざるを得ず、当時のリスナーはこのアルバムに対して、売り上げ不調という『不可』の烙印を押した。実際当時のツアー"爆旅"でも、地方では空席がチラホラ目立った記憶がある。確かに捨て曲が1つも無く、非常に秀逸な出来だが、所謂『キラータイトル』が1つもなかったゆえの結果だろう(個人的には「4:夢」「11:トロフィー」辺りはぶっ殺されそうになったのだが…)。
こんなことを書くと気を悪くする方がいるかもしれないが、ジョンB.はベースが下手である。しかも音楽で食っているという自覚に欠けたところがチラホラと見え隠れする(それは復帰した今でもだが)。このアルバムに参加したチロリンは、ヘビーメタル畑のハイテクニカルベーシストで素晴らしいプレイヤーだ。しかしジョンB.は、やはりこのバンドには必要不可欠な人なんだと再確認できるアルバムでもあると僕は思う。
やはりバンドの価値は、楽器や歌の上手い下手で計れるものではない。