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鬼束ちひろ
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SINGLES 2000-2003(初回生産限定盤)(DVD付)

『消費する欲望,マーケットとポップミュージックの宿命』
 もちろん彼女なりに活動を休止していた明確な
理由があるのだろうが,それとはほぼ無関係にシ
ーンにいないことによって逆にファンの中の彼女
のイメージがひどく現実離れしてしまったかもし
れない。
 そもそも,ポップミュージックにおけるファン
て何だろう。彼ら(当然僕も含め)は,まったく
もって飽きっぽいくせに,一度気に入った幻想を
何度でも欲しがる存在である。
 彼女がいくつかのゴタゴタの末にぽつりと「異
色」なシングルを出した時,熱心なファン達によ
る「今まで通りでいてほしい」という,純粋で悪
意が無いだけに,本人にとってはひどく残酷な声
が沸き上がっていた。だから彼女が可哀想と言い
たいわけではないが。
 アートを作り出すサイドと,それを消費するサ
イド,両方とも生身の人間であるはずだが,この
やっかいな非対称性は何なんだろう。
 気恥ずかしいのを我慢してあえて言おう。その
ような,変化を否定し口あたりのよい変わらない
ものを求め続ける勢力こそ,彼女が当初から闘っ
ていた相手ではなかったか。
 考えてみれば,古今東西この問題にどう「対応」
するかで,一般大衆の評価を勝ち得た表現者が,
その後も生き残れるかどうかが決まってきたのか
もしれない(ストーンズ,果ては氣志團の努力と
苦闘を見よ)。

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